第2回 介護福祉士の藤田祥吾さん ( 2011年02月09日掲載 )

ウィルサポート勤務 介護福祉士 藤田祥吾さん 2008年総合デザイン科スペースデザイン専攻卒業  2006年1年生の春休みを使い、ヘルパー資格を習得。 学生時代から(株)ウィルサポートで働き、介護の現場で働く。 学校卒業と同時により多くの人と触れ合いたいと思い、ウィルサポートを軸に(障害のある方、ご高齢の方問わず)さまざまな現場で働く。
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「いきざま」インタビュー記念すべき第2弾!!の今回は、2008年桑沢昼間部スペース専攻卒業で現在、介護福祉士をされている藤田さんにお話を伺います。
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山下「いきざま」インタビュー記念すべき第2弾!!の今回は、2008年桑沢昼間部スペース専攻卒業で現在、介護福祉士をされている藤田さんにお話を伺います。どうぞ宜しくお願いします。
藤田さん宜しくお願いします。
山下まず、桑沢でデザインを学ばれた後に、介護福祉士になられたきっかけをお聞かせください。
藤田さん桑沢へ入学する前の話になりますが、僕、桑沢入学前は浪人生だったんです。そのころから、父親が保育関係の仕事をしていた関係で子供達の世話を手伝う機会があったり、保育関係の機関に触れあう機会が多かったんです。もともとのきっかけの一つですね。
桑沢へ入学してから暫くは、介護への興味半分、桑沢の勉強半分で、1年生のときに介護2級の資格を取りに行きました。実は、この時に学生時代で介護は辞めるつもりだったんですよ。
そんな中で、もう一つ介護を選ぶきっかけになった出会いがあったんです。東京芸大の准教授で藤崎圭一郎先生との出会いです。デザイン概論クラスで、ユニバーサルデザインについて触れたことがあったんですね。
当時、正直言うと、ユニバーサルデザインと言われている物はダサい印象だったんです。介護の現場の道具やグッズも良いと思えるデザインのものがなかったんですよね。現場を見る限りでは。
さらに、ダサいと言うよりも、「ユニバーサル」として世に出ているものが、単にかっこいいボールペンだったりして。
山下何かを犠牲にしている感じが引っかかっていたんですかね?
藤田さんそうそう、実態が掴めている様で、解らない。そういう感じが引っかかっていたんです。
ユニバーサルデザインとして物を作るにあたり、本当に介護の現場を知っているのかと疑問があったんです。それ以来、益々もっと現場の声を聞いてみたいと思いはじめたんですよね。もっと色々なことを現場で経験してみたくなったんです。
山下桑沢の学生時代からもう葛藤が始まっていたんですね。ちなみに、学校ではどんな学生でしたか?
藤田さんなるべく学校には早く行くよう心がけていましたね。
山下真面目ですね!!真面目だけど、面倒見がいいイメージがありました。(同級生の声)
藤田さんはずかしいですね。。そうは言っても、よくイジラレキャラだとそんな扱いでしたよ〜。
山下学校での印象に残っている課題などはありますか?
藤田さんいや、実は浪人生活からの延長上で、1年生の内は浪人時代と同じ事をやっている感覚でしたね。
ようやっと2年になってから専攻分野で図面書き始めることが出来たんで。その時は嬉しかったですね。
図面を描く事は初めてだったので。
山下やっぱり、真面目ですね〜。
藤田さん真面目でよかった点は、1年生の時に肺炎になって一ヶ月も学校休んだのに、他の先生からは何のお咎めもなかったんですよね。笑
でも、2〜3年生になると一転、真面目じゃなくなった気がします。すみません。。笑
山下学生時代に苦手だった科目とか、何かありましたか?
藤田さん僕は、皆とは逆に徹夜が苦手でしたね。
山下えー!徹夜は楽しむものかと錯覚するほどよくあったというのに!!
藤田さん徹夜するぐらいなら速攻で何事も終わらせたいと思うほうなんですよ。1日最低でも3時間は寝ていました。
あ、あとパソコンが苦手でしたね。友達には助けられました。
山下先ほども学生時代の印象に残る先生については伺いましたが、他に影響を受けた先生はいらっしゃいましたか?
藤田さんインテリアの西脇一郎先生ですね。
影響と言うより、インパクトが大きかった記憶があります。
ある時、西脇先生のスケジュール帳について話を伺っていた時です。12月にはご自分のスケジュールを一切入れないというお話を伺ったんです。12月はご自分に関係する方々の為にあるんだと教わった時の事です。
その徹底されているご様子に、人間関係の大事さを教わった気がしました。同時に、だから成功されているんだと納得がいきましたね。それから、人間関係を大事にしようという心をもって今に至ります。
山下確かに。ヒトとの付き合いは大事だなと思います。全部の仕事にいえますね。
他に学生時代に思ったことで記憶にあることなどはありますか?
藤田さんそうですね、2年生の頃から介護を始めていたので、卒展で介護に関ることを含めた事をしようと思ったことがありました。でも、まだ十分に現場を知らないうちにデザインを行ったら偽善になる様な気がして自分でも葛藤しましたね。結局は、卒展に介護を題材としたものをやらなかったんですよ。
でも、きっとその頃の年代でも出来たことがあったんじゃないか、と今でも悔やんでいます。
そんな後悔もありましたけど、学生時代から介護に携わったことや、学生時代に受けた影響で視野が広がったことは確かですね。
また、デザインというものの見方の視野も広がりました。
介護の視点の話をすると、こっちが良かれと思ってやったことが、利用者にとって特に求められてない物であったとかね。
介護を必要としている人たちをの残存機能(介助無しで行える日々の生活に関る行動)を保つ為に、こちらの健常者が手助けしすぎてもいけない。
健常者に比べ残存機能が低下するのが早いんですよね。
そういったバランスを取っていく必要があるんです。これも双方の人間関係が大きく関ります。
もう一つは、学生の頃、丁度テレビを見ていたら、25~6歳で7年間も身内の介護を続けている方の番組を見たんです。その時、同じぐらいの年の自分が無給で身内とはいえ、同じことが出来るか?と考えたことがありました。
人と人との関り、それは身内でも同じ事で、どうしてもヒトが避けて通れない老い。これは誰もが考えていかなければならないことだと思います。
山下それを20代で考えようと思われたところが凄いですね。
藤田さん中学生頃、祖母がアルツハイマーでこれまでのに介護の環境がそばにあって、その大変さを知っていたので目に留まったのかもしれません。
介護を必要としている方々は、障害によっても、日によっても波があって、体調のよいときもあれば、悪いときもある。いい時ばかりじゃないんですよね。
学生時代は、それらに自分がどう向き合っていけるのか、考えるきっかけになった出来事が沢山ありました。
山下介護のお仕事を始めてどのくらいですか?また今後のプランはどのようにお考えですか?
藤田さん介護に携わって今年で5年目です。来年はケアマネージャーの資格を取りたいと考えています。
目下4~5年は、現在所属している事務所がNPOを持っていて、住宅関連に事業を広げる予定なので、そちらのケアマネージャーとして携わっていく予定です。
山下お仕事の日の一日の流れを教えてください。
藤田さん普段はバラバラで、昼勤帯や夜勤帯は多少異なりますが、主に家事(料理や掃除など)、身体介護(排泄、入浴の介助等)です。 
日中は外に買い物や余暇なども楽しんだりします。 
昼勤務はは1現場に、3〜9時間くらいで、夜勤は夕方から10時くらいまで入ります。
山下何時に寝るんですか??
藤田さん仮眠時間はありますが、コールがなったり、トイレ介助などで起きたりします。
ある意味、桑沢の徹夜生活が役に立っているのかな。(笑)
睡眠時間を取るのも難しい中、資格をとるのはなかなか骨が折れますけど。
山下これまで、ご自分で探されて、どのくらいの現場に関ってこられたのですか?
藤田さん30~40件以上の介護現場に関っています。
山下それぞれ介護を必要とされる方はどの様な障害をおもちなのでしょうか。
藤田さん重度の障害で介護が必要な方もいらっしゃいますが、命に関るほどの障害ではないが生活に困るレベルの方まで様々です。
障害の度合いに関係なく、日々僕には何が出来るのだとうか、と考え向き合っています。
山下仕事へのこだわりを教えていただけますか?
藤田さん主張しすぎないこと。介助者は影なんで。
山下その人が普通に生活できるのが一番と言うことですね?
藤田さんそうなんです。あくまでも普通であると言うことが大事であると思っています。
それから、使いにくい物や気づいたことをメモして残していくようにしていますよ。
メモ等してますが、実際に介助に利用する物を選ぶときなどは当たり前のデザインの物の方を選ぶんですよね。ユニバーサルデザインとされる物を選ぶことは少ないかな。これも、先に話したユニバーサルデザインに対する疑問のきっかけなんですけどね。
山下デザインの現場って、現場から見たら結構温度差があるんですね。
藤田さんそうですね。以前、ユニバーサルデザインコーディネーターと言う資格の講座を受けたんです。
車椅子であったり、目の不自由を体験するようなコースがあるんですが、健常者が実際に障害があった場合を体感できるのでお勧めです。
一つに目隠しをされて場所を異動するような講習があるです。エレベーターなんかで、移動するのにボタンからしてどれを押すのか解らないから、同じビルの中なのに一階分の移動、エレベーターを動かす事自体できなかったり。僕自身も衝撃を受けました。
山下ユニバーサルデザインコーディネーターと言うのはどの様な職業なのですか?
藤田さんこちらは、もっとビジネスに密接に関りユニバーサルデザインを実現する役割を担います。会社に一人置く時代として流れが出来つつある分野の一つです。
ユニバーサルデザインと言えば、今まで国内では万人受けするのデザインの話しか聞きませんでした。しかしこの資格もそうですが、海外で扱われるユニバーサルデザインの概念の違いがある事に気付いたのが僕の前進でもありました。
海外だと「独りでも多くのヒトが使えるデザインである」と言う定義で、日本の概念と違いがあるんです。
誰でも使えるようにすると言うのは正直無理ですよね。答えの無い答えを探していた感があります。
海外の定義のほうが、ユニバーサルデザインを志す自分を楽にしてくれた感じがありました。
山下実際に体験して、ユニバーサルデザインの温度差を体感してみないと解らないっていう良い例ですね。
藤田さんそうですね、なので仕事の中から見つけたことをメモしたものが、今後役に立てばいいなと思います。
そういう視点から見ると、最近のスマートフォンなどは色々と可能性があるし、iPhoneのCMなどは凄いと思いました。耳に障害を持っている方がどのように活用できるのか提案できていて。
また、目的地までの道のりを伝えたり、聞いたりするのに便利だと言う声も聞いたことがあります。今後が楽しみですね。
山下将来の目標や長期的に実現したいことはありますか?
藤田さんかっこいいデザインではなくて、見えないデザインをしていきたいと思っています。
見えないデザインというのは、僕らが普段歩いてて気づかないけど、目が見えないとか聞こえないヒトに使いやすい物を創れたらいいなと思います。
また、介護士としてはお洒落な介護士になりたいという希望もあります。
山下喜ばれますか?
藤田さんファッション雑誌を見せたり、髪形のコーディネートをしたりします。 
やっぱ、みんなかっこよくありたいって思いますからね。 かっこよくしていくことで、その人が外で出会う人に、この髪型かっこいいね!とか言ってもらえれば、コミニュケーションのきっかけにもなりますからね。 
そういわれた日って、その 日一日が気分よく過ごせたりすますからね!
異色のヘルパーかもしれません。
グループホームの中にはそのようなところに気遣いが手薄になるのかな。
そのようなことも現場では気になりますね。
それから、最終的には公共施設をやってみたいとも思っています。駅や公共機関、大型のコマーシャルビルなど。
エレベーターなどで車椅子を押している度に思うんですよ、もう少し心配りがあればいいなとか、人に対しても物に対しても。
人の誘導に関るところなどは、今僕が経験していることが生きると思います。
また、やさしさを持ってくれるヒトを増やすというのが更に先の希望ですかね。誘発的な仕組みが作れればいいなと思います。
「当たり前のことを当たり前に出来る人をふやす」。が目標です。
山下貴重なお話が沢山伺えました!有難う座います。
最後に、藤田さんにとって桑沢デザインて何ですか?
藤田さん働くっていうのは、一つに限ったことではないと教えてくれた場所です。
「全てのものがデザインである」ということを教えてくれました。
今はデザインをやっていなくても、僕は十分に桑沢での教えを生かせていると思います。
そういうことを教えてくれる所かなと思います。
山下素晴らしいですね。(涙目)
それでは、好例ですが、学生さんたちへのメッセージをどうぞ!
藤田さん今後、NPOのボランティアで講座を開いていく予定なので、参加できるようなシステムを作れたらなと思います。
追って日程等を発信しますので、是非参加してもらいたいです。
先に言った体験等は「やろう!」と思ってもなかなか参加できる機会が無いものなので、興味を持ってくれる人が居たら是非考えてみてください。考えるきっかけ作りをができたらと思っています。
山下同窓生へ向けてメッセージをどうぞ!
藤田さん何かこういう方向性のものを取り入れたり、お話が出来る機会があればいいですね。
何かやりたいですね。今後も楽しみにしています。
山下まさに貴重な現場の声を沢山伺えたように思います。藤田さん、有難う御座いました!!