┃桑沢賞
伊勢功治(グラフィックデザイナー/1部56L2B)



1956年 富山生まれ。中央大学卒業、1982年桑沢デザイン研究所卒業、1988年デザイン事務所「伊勢工房」設立、1992年「写真の会」に参加、現在に至る。
ブックデザインを中心としたグラフィックデザインで活躍。主な仕事に「カメラキメラ/オノデラユキ写真集」(2002)、「獅子よ瞑れ/長倉洋海写真集」(2002)、「Intrinsic/進藤典子写真集」(2005)、「岡本太郎と横尾忠則/倉林靖」(1996)、「ミラノ霧の風景/須賀敦子」(1990)、「現代詩手帖」(1997~1998)などのブックデザインのほか、展覧会図録デザイン、展示構成デザイン、ポスターデザインなど知性的で端正なデザインに評価が高い。またデザインにとどまらず、ステージヴォイス、詩の朗読、パフォーマンスなどの企画・プロデュースや写真への考察などデザインのベースとなる基本的な文化活動においても多岐にわたり活躍している。

■受賞のことば
今日、原宿に来てなつかしい思いでした。25年前、桑沢ではデザインのことだけを考えていた幸せな2年間でした。当時はブックデザインではなくポスターなど人目につく仕事をしたいと思っていました。そのことを桑沢の先生に話したら「綴じられているからこそ本に意義がある」ということを教えられずっと頭の中に残っており、そのことが本に対するこだわりや魅力につながり今に至っています。
本の仕事というのは奥が深く構造物をつくるような感覚で行なっています。最近読んだ本で、瀧口修造さんが「デザインというものは人間の生活空間を生き生きさせるためのあらゆる設計である」といっていますがまさにそのとうりで私もデザインの仕事に就いてこのようなことをしていることが幸せだと思っています。
桑沢賞審査員やスタッフの方々、そして仕事関係の方々に心より感謝いたします。この賞に恥じないよう今後も頑張りたいと思います。ありがとうございました。