┃桑沢特別賞
高梨 豊(写真家/2部35L2)


1935年東京生まれ。日本大学芸術学部を経て、桑沢デザイン研究所で写真家大辻清司氏に学び1961年卒業後、日本デザインセンター入社、コマーシャルやファッションなどの分野で活躍する一方、さまざまな方法論を駆使して「都市」という主題に取り組んできました。

1966年『カメラ毎日』に発表した〈東京人〉や、写真同人誌『PROVOKE』を舞台として、時代の先端を疾走、写真における表現の根拠を先鋭に問いつつ、のちに写真集『都市へ』へとまとめられていった作品群は、つづく「コンポラ写真」の世代などにも大きな影響を及ぼしました。

昨年、東京国立近代美術館で開催された写真展「光のフィールドノート」は、作品自体が重層的な構造を持つ「都市」として私たちの前に立ち現われ、印象的でした。

写真集に「面目躍如」「初國」「東京人」「都市へ」「町」「地名論」ほか多数。 1980年から東京造形大学で教鞭をとり、現在、客員教授として指導にあたられています。


■受賞のことば
私は大学の写真を出て、一年ほどたったころ、自分の写真のやり方に迷いが出まして、そのときに大辻清司さんに出会い、先生から桑沢へ行って見たらどうかと言われ2部のリビングに入りました。そして2年の時初めての個展を開いたとき、クラスメイトにポスターの制作など手伝っていただきました。この桑沢の時期が僕の写真のやり方の基本が固まってきたときだと思っています。昨年の国立近代美術館での写真展は自分の仕事のすべてを開いたといういい経験でしたが、これまでの作品を見ますとやはり桑沢で写真の認識の手だてがあったのだと思います。
いま、次の仕事の方法を探っている時ですが、影響を受けた学舎からこのようなご褒美をいただくということは、うれしくそして励みになります。写真、いや初心を忘れるな、ということです(笑)。ありがとうございました。
高梨 豊氏作品