┃桑沢特別賞
羽生道雄(デザインプロデューサー・プロダクトデザイナー/2部31L研)


1956年日響電機工業勤務の傍ら桑沢の夜間部第1期生として卒業。卒業後桑沢デザイン研究所の助手を経て専任講師として初期の桑沢の教育に尽力されました。その後独立し、1972年に複数の生産企業参加のもとモノプロ工芸株式会社・モノプロデザイナースを設立。金属洋食器や刃物、工具などの生活用品のデザインをトータル的に提案する一方、経営戦略、CIデザインなど、中小企業におけるデザインの統合化戦略など幅広いデザイン活動を進められ、多くの公職にもつかれました。
受賞に、「毎日産業デザイン賞」、グッドデザイン特別賞、「燕市の洋食器デザイン」のニューヨーク近代美術館永久保存、国井喜太郎産業工芸賞、USA シカゴインターナショナルハードウエアショウ ブルーリボン賞など多数。著作に、暮らしのデザイン「ナイフ」、「日本の近代デザイン運動史」など多様にわたります。
また、1988年から1989年には、桑沢デザイン研究所改革のため「明日の桑沢を考える会」の会長として多くの同窓生の英知を結集し「意見書」を作成、その活動は、その後の桑沢と同窓会に強い影響を与えました。
現在は東北芸術工科大学名誉教授の要職に就かれています。

●受賞のことば
今回の桑沢特別賞の受賞を心から喜びとしています。それは私を理解している桑沢の方々が選考していただいた賞だからです。私は1933年生まれで、桑沢2部第1期生です。桑沢に入る前は当時の電子工学の先端を行く脳波測定器の第1号機や南極観測船宗谷の特殊な通信施設の設計などに携わっていました。完成度が高く苦しみましたが、終わってみれば楽しい仕事でした。桑沢に入ってからは、デザインの領域の広さと奥行きの深さに魅力を感じた次第です。桑沢の専任講師を辞したあとは、マーケティングを学び、優れた技術を持つ日本の中小企業のための総合的に束ねる仕事をしてきました。その経験を買われ、国連や日本政府のODAの仕事をすることになり誇りに思っています。一例を挙げると、インドネシアのハンディクラフトで6,400人の新規雇用を実現しインドネシア政府や日本のジェトロ関係者に喜んでいただいたなど、きのうのように思い出されます。今回いただいた桑沢特別賞は、それらを証明するものとして、天国におられる桑沢洋子先生をはじめ教えをいただいた先生方への証(あかし)として役立つものと思っています。
最後になりましたが、幾多の困難を乗り越えて今日ますますその働きが期待されている桑沢の運営に携わっておられる各位に敬意を表します。ありがとうございました。


羽生道雄氏作品