┃桑沢スピリット賞
稲川淳二(1部44L3ID)


思い返すと、桑沢の入試の面接が佐藤忠良先生で
「君は此所(桑沢)の他にどの学校を受けたんだ?」
と聞かれて、
「桑沢の他に学校なんてあるんですか?」
と答えると、
「君は面白い事を言うなァ」
と大笑いされて、 入学して彫塑の授業で佐藤忠良先生が
私と何人かが囲んでいるテーブルに遣って来て、
「毎年、此所に座る生徒はろくなのがいない」
と言われて、 バスハイクやらパーティーを企画したり六本木で仲間と
土日、店をやったりして 大成(おおなり)先生からコンパ屋といわれ、
或る時は、
「稲川君、此所(桑沢)はオリンピックじゃないんだから
参加するだけじゃ駄目なんだよ、課題も出さなくちゃ」
と、説教されての桑沢での4年間は私に大いなる刺激を与えてくれました。
たとえようのない心地好いエネルギーに何時も包まれていたような気がします。

今年20周年を迎えた桑沢賞授賞式、私の怪談の夏の全国ツアーも
今年で20年目となります。
正に最高のタイミングで、思いも寄らない
突然の受賞で驚きと同時に感謝でイッパイです。
「稲川、お前がいなくても日本のデザイン界は変らないから」と、
芸能界へ送り出してくれた桑沢の先輩、桑沢デザイン研究所が
あったから、今の私があるんですね。
皆さん、本当にありがとうございます。


稲川淳二氏作品