第23回桑沢賞表彰式がにぎやかに開催されました ( 2015年07月07日掲載 )
今回で23回目を迎えた桑沢賞の表彰式&パーティーが、2015年5月16日(土)の6時より、東京・原宿クエストホールにおいて開催されました。
約400名の参加者をかぞえ、今回もタレント&工業デザイナーの稲川淳二さんの司会によりにぎやかに表彰式が行われました。
昨年就任した八十島博明同窓会会長が開会の挨拶において、「桑沢賞は創立者の桑澤洋子先生の業績を記念して同窓会が制定したものです。桑沢賞本賞は今回より新しく選任しました審査員の方々により選考いたしました。本賞以外は同窓会理事・委員により選考しています。桑沢賞本賞の選考にあたり、今回から桑沢の教育の原点に立ってはどうかと提案し、すなわち『既成概念の打破』『概念崩し』の言葉と、若手デザイナーたちの可能性に向けたまなざしをもとに選びました。また、新しい試みとして表彰式の開始時間を1時間早めたことによりパーティーを存分に楽しめるようにしました。そんな桑沢賞にこれからもご協力お願いいたします」と語りました。
桑沢賞(本賞)は、ジュエリーデザイナーの岡本菜穂氏およびグラフィックデザイナーの高田 唯氏のお二人に贈られました。また、桑沢特別賞はプロダクトアートディレクターの梅田正徳氏に。そして桑沢スピリット賞にはミュージシャンのスチャダラパーに贈られました。そして今年の卒業生作品展で優秀な作品を発表した桑沢新人賞には6名のみなさんが選ばれ、その中から選ばれる桑沢最優秀新人賞はファッションデザインの佐々木貴里之さんが受賞しました。
各賞の受賞者には、賞状、トロフィー、副賞(各支部の名産品を旬の時期に発送)、賞金が手渡され、参加者のみなさんより盛んな拍手を受けました。
つぎに、新任の桑沢賞選考委員であるデザインプロデューサーの下川一哉氏により桑沢賞審査総評があり、桑沢所長の浅葉克己氏の乾杯の音頭によりパーティーが行われました。会場では、参加者のみなさんや受賞者の方々、そして新卒生のみなさんとともに会場のあちこちで会話の花が咲き、賑やかでなごやかな雰囲気ですすむなか、表彰式でのナレーションをつとめたのもりいくすお同窓会副会長の締めの挨拶により、無事終了いたしました。
関係者の皆さん、ボランティアでお手伝いをしていただいた桑沢の学生さん、そしてTシャツをデザインしていただいた絵本作家の五味太郎さん、ありがとうございました。
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第23回を数えた桑沢賞。 受賞者に贈られた歴代表彰状をすべてご紹介!
桑沢賞:審査総評
下川一哉(デザインプロデュ-サー)
今回より新しく桑沢賞審査委員になりました工藤強勝氏、眞田岳彦氏、中川直樹氏、横森美奈子氏、そして私、下川一哉が代表して桑沢賞本賞の審査総評を報告させていただきます。
この審査会において選ばれました岡本菜穂さんも、高田 唯さんもデザイナーとして桑沢賞本賞にふさわしい高いクオリティとオリジナリティを発揮されていることは審査員全員が確認できたことでした。それと同時に非常に有意義な共通点が見られたということが記憶に残っています。それは、伝統的な素材や技術とご自身の新たな創造性を融合させ、それを自然体で自己の表現とされている点でした。お二人の個々の表現のみならず、デザイナーとしてのこのような姿勢が審査会では高く評価されたことをここにご報告いたします。
岡本さんは、ジュエリーデザイナーとして、ガラスやアクリル、籐など身の周りの素材を使って広く多くの人たちに新しい感覚のジュエリーを提供しようと努力されています。非常にみずみずしく特に鋭い感性の必要とされるジュエリーデザインにおいて、伝統工芸や地場産業の職人の手によってジュエリーに仕上げられた作品は、高額なものほどよいという既成概念をくつがえすだけでなく、伝統工芸や地場産業にも新たな可能性を示しています。
高田さんは、グラフィックデザイナーとして、審査員だれもが認める質の高い表現を実現しながら、ご自身で活版印刷工房も経営しています。
このデジタルの時代に活版印刷を自己の表現に活用するのみならず、新たな工芸的なビジネスとして捉え直して未来につなげようという努力をされています。この様な姿は非常に根源的でありながら、私の目から見るとたいへん先進的であると感じます。
私自身、いろいろな日本の伝統工芸、地場産業をデザインで元気にするということをお手伝いしていますが、産業や技術・技法が衰退の一途をたどっていることは否めません。なぜだろうと考えますと、おそらく「伝統的な技術・技法だからこそ残そう」という視点に立っているからではないかと思うことがあります。むしろ岡本さん、高田さんのように「現代社会に必要なものや表現は何か」という視点に立ってその実現のために伝統的な技術・技法に行き着いたという、そうした創作に私はむしろすこやかさを感じて伝統的な技術・技法の可能性を見出しています。伝統と先端を自然体で融合あるいは同居させる姿が現代のデザイナーに求められていると思います。そうしたデザイナーが、さまざまな産業を活性化させると予感しています。
今回の審査で多くのすばらしいデザインに出会いました。
一方で、スケール感をいだかせるデザインやデザイナーが少なくなりつつあるのではないか、という指摘もありました。
デザインやデザイナーの役割が変質するなかで、社会のさまざまな細かな諸問題を解決しながらも、心をゆさぶられるようなデザインもあるのではないかとも思います。
桑沢賞を通じてそのようなデザインの出現に立ち合ってみたいと願うのが審査員全員に共通した思いでした。
これからも皆さんに「桑沢賞」をめざしてデザインに挑戦していただき、さらなるデザインの発展に期待したいと思います。
第23回桑沢賞表彰式 現場リポート!
桑沢賞授賞式はプロの力をお借りしているとは言え、同窓会理事・委員によるボランティアでの手作りです。しかし、皆、プロ並みの動きが出来るようになり、ご来場者には理事・委員の働きが見えにくくなってきています。そこで今回は裏側をお見せする意味で、スタッフ達の声を集めました。どうぞお目通しください。
同窓会会長 八十島博明(1部59L研GD)
<進行担当より>
今年は新たな試みとして、パーティーでより多くの時間を楽しんでいただく為、すべての開始時間を1時間早めました。良かった点、次回に活かしたい反省点など上がっておりますが、滞り無く会を終えられました。進行自体でも新たな試みとして、トロフィーをより際立たせる動きを入れ、オペレーションを増やしています。慣れているメンバーも多かった為、各々が1を伝えるだけで10の動きが出来たことで、よりスムーズな進行を行えたのではないかと思っております。
稲村彰保(1部H14PD3D)
<台本担当より>
4月初旬頃より、司会のセリフ、人の動き、スライド上映のタイミング等々をまとめていきます。パーティーでは賑やかな曲の後、スローテンポの曲がかかると、この桑沢賞で1年ぶりに再会したであろう、ご年配の同窓生が手を取り合ってダンスをされていたのは、新しい発見でした。時間の経過とともにホールに留まる方が少なくなっていたので、今後は何かしらの仕掛けがあってもいいかもしれません。
山越史洋(2部H17VD2B)
<ステージ、会場ポスター担当より>
会場ポスターとエレベーター前のバナーについては、その年々の賞状のデザインを取り入れることで会場のトーン&マナーを作っています。ちょっとでもデザインしすぎると世界観が違ってきてしまうのでいろいろ試してみつつ、気をつけて作っています。卒業生たちが確実に活躍していることを実感できるイベントなので、母校からすっかり遠のいている卒業生にも「今年は行ってみようかな」と思わせる仕掛けが、今後何らかの形でできるとよいかと考えています。
日下部昌子(1部H6L研GD)
<映像担当より>
3月の受賞候補者選考会のスライド作成からスタートし、桑沢賞1週間前のリハーサルまでに仮データを、また当日までにリハーサルでの変更点を含めた映像を仕上げます。当日は全ての映像のオペレーションと、会場で流す音源の用意も担当しています。「この曲をかけたい!」というものがありましたら、ご提案いただけましたら幸いです。
石神奈津子(1部H22VD3A)
<会場担当より>
今年は会場設営側でも何か新しい試みはできないか? と、去年から議論してきました。 限られた時間とお金の中で何か一つでも去年とは違う新しい試みをしたい。そんな思いの中で、会場ホワイエの壁面にパネル展示ができるというご提案を受け、「新人賞作品の展示」を試みました。新人賞受賞者と来場者を結びつける「きっかけの場」として、しっかりと機能していたように思います。 今後も、できることからコツコツと、新しいことを楽しみながら桑沢賞を盛り上げたいと思います。
細山歩(1部H13PD3D)
<新人賞の展示パネル制作担当より>
作品画像やコンセプト原稿が期日通りに集まらず、少し難航してしまいました。また授賞式では受賞者の横に立ち、トロフィーをお預かりして皆様にお見せするという役割を務めました。事前のリハーサルで初めて具体的な動きがつかめたので「実際にやってみないと分からないなあ」という感想です。また、「ズボンがつんつるてんだ」、という意見を頂きました(笑)
林皇貴(1部H24VD3C)
<受付担当より>
今回より開始時刻が1時間早まり、入場に影響しないか不安でしたが、若干の方の勘違いの他はほぼ問題なく、クロークへの流れも順調でした。在校生、卒業生の受付はボランティア学生さんが担当。五味太郎さんデザインのTシャツを着てお出迎えする姿が愛らしかったです。
<受賞者等のバッジ制作担当より>
今年のバッジは花びらが舞うような、花火の光がパッと咲くようなイメージを単色で表現しました。例年のようにファッションデザイナー横森美奈子さんによる、リボンとラインストーンの素敵なコラボです。来場者配布用バッジの柄は受賞バッジの柄をアレンジしました。
赤羽なつみ(1部49L3PK)
<ケータリング・学生ボランティア担当より>
今年は新しい試みとして、学生ボランティアスタッフと卒業生の交流の時間を設けました。これは同窓会の理念を象徴するような機会だと思います。
学生さんはヤル気に満ち溢れていて、楽しんで参加してくれましたが、その様子を見てこちらまで嬉しくなりました。取り仕切ってくれた昼間部自治会のみなさん、お手伝いくださった学生のみなさん、ありがとうございました。
馬原雲母(2部H22VD2A)
<ステージ担当より>
舞台上での誘導、賞状などの受け渡しや受け取り等、担当者は10人以上になります。台本や映像、ナレーションの担当と一緒に1ヶ月ほど前から台本の読み合わせを行い、1週間前には動きを考えながらリハーサルを、当日には舞台上で通し稽古・司会の稲川淳二さんも加わったランスルーと2回のリハーサルを行いました。今年はステージ上でも様々な変更や新しい試み(トロフィーを掲げる役を設けるなど)を行いました。どうすればより良い授賞式になるのかを皆で考え、意見を出し合い、身体を動かして充分に準備をした成果は確実にあったと思います。
田辺千晶(1部56L2Cイ住)
<ナレーション担当より>
本番ギリギリまで理事同士で検討し合い、より正しい日本語でまとめました。原稿を読んでいる間はスライドショーが見られませんので、なにか不具合がなかったか危惧しましたが、どなたからもなにも言われなかったのでとりあえずホッとしております。ナレーション以外では、今年からの「前倒しタイムスケジュール」が後始末の時間にゆとりを作ることができて心地よく、来年もこの態勢で行けたらと思いました。
もりいくすお(1部60L2A)
<ステージ 受賞者担当より>
受賞者の舞台への登壇から降壇に亘るまでの誘導を担当。式の終了後、受賞者の方から「キビキビしていてとても分かりやすかった。感心していた」と図らずも温かいお言葉をいただき安堵しました。社会人になってから、学生の文化祭のようにみんなで1つのことを作り上げていく機会は中々ありません。しかしこの授賞式は、第一線で活躍する方々や、これから世に出て行こうとする若人と場を共有できる、卒業したらもう終わりではないことを実感できる瞬間なのです。
本田理恵(1部H20VD3C)
<ステージ下手担当より>
下手からは賞状、トロフィー、賞金や副賞目録などをお渡しします。ここは、司会の稲川淳二さんにもっとも近い場所。緊張した新人賞の5人のみなさんが、舞台上で稲川さんとお話ししたとたん、雪が溶けるように表情が変わるのが印象的かつ感動的でした。家族や友達が会場に来てくれている人も多く、それぞれがたくさんの人に支えられて制作してきたのだと思うと舞台の袖で思わずホロリ。来年も、がんばる後輩を下手から応援したいと思います。
森井ユカ(1部60L2A)