新生!桑沢デザイン塾・2008年第1期 、にぎやかに終了。 ( 2009年01月22日掲載 )

image_09_011997年にスタートした桑沢デザイン塾は10年を過ぎ、改めて新メンバーのもとで再検討され、「新生!桑沢デザイン塾」として2008年第1期が10月18日より12月6日まで開催されました。

 

これまで何回か開催され多くの受講者を得た、画家・朝倉摂氏の監修によるワークショップ「絵を描く」、益田文和氏+野口英明氏のコンビによる、サスティナブル(持続可能)な社会のためのモノづくりを考えるワークショップ「エコデザイン」、そして新企画・雑貨コレクター森井ユカ氏による「今さら聞けない北欧 デザイン!」の3講座で行われ、各講座とも、受講生の皆さん、講師の方々の熱気にあふれた展開で充実したものとなりました。
その様子を、各講座の企画担当より、レポートをお送りします。

● ワークショップ「絵を描く」

image_09_022008年度[第1期]桑沢デザイン塾「絵を描く」も多くの皆様のご協力のもと無事終了いたしました。 講師の先生方々、ボランティアの方々、お疲れ様でした。そしてありがとうございました。

 

今回は、一日目:バラ一輪。二日目:くしゃくしゃにした英字新聞の上に置いた透明なグラス。三日目:布とピーマン。四日目:近くの人。そして最終日は裸婦 というモチーフでした。リピーターの方達は「面白い」という反応のようでしたが、初めて参加される方は若干難しく感じられている様子でした。 とはいえ、皆さんがんばって、結果的には大変上手な作品が仕上がったようです。 講師の方々も、「今回はみなさんなかなか腕が良い」と驚いていらっしゃいました。

 

この講座は毎回、朝倉摂先生が自ら生徒さんを指導していらっしゃいまして、デザイン塾に対する先生の情熱を感じることができます。これが、いつも好評を頂 いている秘訣なのかもしれません。 その情熱が「絵をうまく描きたい!」という生徒さん達の情熱と呼応しあっているのでしょう。講師の方が生徒さんそれぞれのデッサンを見て回り色々とアドバ イスをされていると、生徒さんも質問を返してコミュニケーションが生まれ、「楽しく学ぶ」雰囲気が感じられ、とても良い情景です。 また、朝倉先生が黒板に要点を書きながらレクチャーされると、皆さんデッサンに応用しようと真剣に努力する様子がみられました。

 

最終日は、生徒さんが描いたデッサンを各自1枚選んで全体の講評会を行い、講師の方々にご講評いただきました。その後質問タイムを行い、生徒さんの色々な質問に朝倉先生はじめ講師の方々も丁寧に分かりやすく答えられていました。

 

また、四日目終了後に近くのレストランにて他講座の方達とともに講師・生徒・スタッフ一同で「打ち上げパーティ」を行いました。 皆様、それぞれ講師の方々に絵についての質問をしたり、和気藹々で大変楽しい時間を過ごしました。 尚、打ち上げは他講座との関係で日程が決まったため、当「絵を描く」講座はその時点でもう1回分の授業を残していたのですが、気を利かせた一人の講師から 「来週も講座があるから忘れないで来いヨ!」と声がかかってパーティは締めくくられました。

 

今後も「絵を描く」の講座は開催いたしますので、今まで何回か講座を受けている方も、初めての方も「絵に興味 のある方」はぜひ「桑沢デザイン塾」の講座「絵を描く」に一度ご参加してみてください。 よろしくお願い申し上げます。

 

(担当:中村哲夫)

●「今さら聞けない北欧デザイン!」デザイン・旅・ワークショップ。北欧デザインへの3つの扉

image_09_03意外と長く続いている北欧デザインブーム。その秘密を改めて知りたくなり、どうせならたくさんの人と一緒に考えてみようという思いから開講しました。タイ トルをあえて「今さら聞けない」としたのも、デザインを専門としていない方にも気軽に参加していただけたら、という願いからでした。さらに新しい試みとし て、通常5回の講座を3回にしたのも、より都合のつく方が多くなるのではと考えたからです。

 

さて、その内容ですが、1回目はエイ出版社『リアル・デザイン』編集長の桑原勲氏をお迎えして、主にデンマークの旅と家具を中心に北欧デザインの魅力を 語っていただきました。2回目は北欧の旅を得意とする旅行会社、フィンツアーのツアープランナーである宮澤陽子氏に、初めての北欧ツアーを想定し、フィン ランド・スウェーデン・ノルウェーのデザインショップや秀逸な建築について、また北欧の人々の暮らしに息づく「普通のデザイン」について伺いました。3回 目は私、森井の担当により、スウェーデンのスーパーマーケットのチラシを使い、IKEAの時計にコラージュし「北欧デザインで遊ぶ」手軽なワークショップで締めさせていただきました。

 

北欧デザインの全ては3回では探れませんが、肌で触れて感じていただけたのではないかと思っております。これからも、参加しやすく親しみのある桑沢塾を企画して行こうと思っております。

 

(担当・講師:森井ユカ[雑貨コレクター・立体造形家])

●ワークショップ「今だから『エコデザイン』 ……エコの種を蒔こう!」

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テーマ:森(FOREST)・・森を考える。

 

桑沢デザイン塾2008年度第1期は(10月18日〜12月6日)の期間中5回の日程で開催されました。 エコデザイン講座は「今だから『エコデザイン』……エコの種を蒔こう!」を開催いたしました。

 

森は二酸化炭素を栄養に育ちます。温暖化に待ったをかけるためには地球規模で減少している森を守ることです。日本は国土面積に閉める森林の割合が6割以上 という先進国中トップクラスの森の国で、その森林面積は毎年増えているのです。 しかし、その過半数を占める人工林は、安い輸入財によって経済価値を失い、手入れされることなく放置されています。今や危機に瀕している貴重な森林資源を 見直し、日本の木とバイオマス資源が本来持っているすばらしい価値をデザインの力で引きだしましょう。日本の森をよみがえらせるために。

 

「エコの種を蒔こう!」は森を考えることから始まります。

 

上記のテーマでワークショップを進め、各参加者の成果を、港区「エコプラザ」で開催された「サステナブルデザイン展」(12月6日(土)〜14日(日))に出展参加いたしました。

 

「森を考える・・!」という大きなテーマでしたが、啓発的なモノから具体的なプロダクトまで範囲の広い内容の提案が出てまいりました。 まず森に行こうという発想から、『都市を基点としてワンコインで行ける山(森)の紹介とチケット&沿線鉄道のクーポンを発行し森へ誘うきっかけを 作る』『その森の資源を有効に利用するためのアイデア』『成長の早い竹を使ったプロダクト』『間伐材のパルプから作ったスリッパ(生活用品)』など。

 

われわれの生活圏に直接影響がありながら、とても難しいテーマでしたが、リピーター受講者の方が初めて参加する方のけん引役となり、各自成果としてまとめることができました。
内容的には年々レベルが上がってきているという手応えを感じております。

 

(担当・講師:野口英明)