第19回桑沢賞表彰式+本年度卒業生激励会が開催されました ( 2011年07月06日掲載 )

今年で第19回を迎えた桑沢賞の表彰式が、5月28日(土)の7時より、東京・原宿クエストホールにおいて開催されました。

 

今回は東日本大震災により桑沢の卒業式が中止されたため、新卒生の激励会も兼ねた開催となったことにより約450名の参加者をかぞえ、タレント&工業デザイナーの稲川淳二さんの司会により、表彰式が行われました。
大豆生田同窓会会長による開会の挨拶では、「3月11日に起きた東日本大震災・原発事故に会われた方々に心よりお見舞い申し上げます。

 

そして桑沢の創成期からご尽力をいただき、さらに桑沢賞のトロフィー制作と第1回の桑沢特別賞を受賞された彫刻家の佐藤忠良先生が3月30日にお亡くなりなられましたことをあわせ、一分間の黙とうをお願いいたします」(黙とう)「今回の桑沢賞は大震災前には選考は終わっておりました。
しかし表彰式を実施するかどうかは各方面、理事委員会でも討議しましたが、経済も、生活も日常通りに行うことが復興の力になると信じ、デザインが復興にどれだけの力を貸せるか、本日の開催で問いたいと思います」と力強く挨拶されました。

 

つぎに、新卒生激励会に対しての挨拶が所長の内田繁氏からあり、それに応えて新卒業生代表の山口昌平さんより挨拶が行われました。(下記参照)

 

表彰式に入り、桑沢賞(本賞)は、イラストレーターの下田昌克氏と能面彫刻師の毘堂氏に贈られました。また、桑沢特別賞はデザインプロデューサー・プロダクトデザイナーの羽生道雄氏に。桑沢デザイン・オブ・ザ・イヤー賞にはグラフィックデザイナーの山口信博氏に贈られました。そして桑沢新人賞は7名と1グループのみなさんが選ばれ、その中から桑沢最優秀新人賞にテキスタイルデザインの桑田麻弓さんが選ばれました。各賞の受賞者には、賞状、トロフィー、副賞(今回は被災地支援のため東北6県より名産品を旬の時期に発送)、賞金が手渡され参加者のみなさんより盛んな拍手を受けました。
つぎに、桑沢賞選考委員の中西元男氏の桑沢賞審査報告があり、同窓会東北支部長の三上孝氏の乾杯により記念パーティが行われました。会場では、参加者のみなさんや受賞の方々、そして新卒生のみなさんとともに会場のあちこちで会話の花が咲き、賑やかでなごやかな雰囲気ですすむなか、表彰式でのナレーションをつとめた同窓会副会長のもりいくすお氏の中締めにより、無事終了いたしました。

 

関係者の皆さん、ボランティアでお手伝いをしていただいた若い人たちや桑沢学生さん、そして介護福祉士の藤田正吾さん、Tシャツやバッジをデザインしていただいた藤原カムイさん、本当にありがとうございました。

 

なお、会場受付に東日本大震災の義援金箱がおかれ、集まった募金はあしなが育英基金に寄付されました。

 

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卒業生代表あいさつ  山口昌平さん(プロダクトコース)

 

本日はこのような激励会と、内田所長のあたたかい励ましのことば、そしてあたたかい拍手をいただき新同窓生を代表してお礼を申し上げたいと思います。
3.11の大震災によって卒業式が中止となりとても残念に思います。それと同時にさまざまなメディアで伝えられる情報と日々の生活の中で感じる不安から、日本はどうなってしまうのだろうとか、何をしたらいいのかを考えていました。このような状況で改めて考えたことは、桑沢で学んだことです。その内容は、デザインとは人を幸せにすること、人の気持を動かすこと、そのために美しいものを作り出すこと、いままでに無いものを生み出すこと、自分から働きかけること、そういったことでした。
これから私たちが携わるデザインで導き出していく答えのひとつひとつというのは、今までと大きく異なったものになるはずです。しかし桑沢で学んだデザインに取り組む姿勢そのものというのは、震災前も後も変わらないことだと思います。その姿勢は目の前におられる先輩の方々や、すべての桑沢の卒業生が社会の中で仕事や様々な活動を通して続けられていることなのではないでしょうか。
今年卒業しました私たちの前には厳しい社会の現状があり、とてつもなく大きな課題が投げかけられていますが、この状況でこそデザインを通して人や世界と新たな関係を築くことができる機会だと思っています。
これから一緒にお仕事をさせていただく機会があった際には、私たち後輩を厳しく鍛えていただきたいと思います。
最後になりますが、私たちが桑沢で思いきりデザインと向き合い、無事に卒業できたのは内田所長をはじめ、熱心にご指導いただいた先生方、充実した学生生活を送れるようサポートしていただいた事務の方々、課題に悩んだときには最後の最後まで付きあいご指導をいただいた工作室の先生方、そして清掃の方、売店の方、学校のことでいつも支えてくれた家族、いつも悔しい思いをさせてくれるライバルでいてくれた友達、学生生活を支えていただいたすべての方にお礼を申し上げます。


●画像をクリックすると、詳細をごらんいただけます


bido
桑沢賞

毘堂
(=山口比呂樹:能面彫刻師/1部H3L研GD)
shimoda
桑沢賞

下田昌克
(イラストレーター/1部63L研GD)

hanyu
桑沢特別賞

羽生道雄
(デザインプロデューサー・プロダクトデザイナー/2部31L研)
yamaguchi
桑沢デザイン・オブ・ザ・イヤー賞

山口信博
(グラフィックデザイナー/1部48L1B)

kuwata
最優秀新人賞

桑田麻弓
(テキスタイルデザイン)

sinjin
桑沢新人賞

2011桑沢新人賞受賞者一覧
角野真耶 (パッケージデザイン)
山崎千惠子(ビジュアルデザイン)
佐藤裕二 (写真)
蓑島由加 (エディトリアルデザイン)
高野友宏(ビジュアルデザイン)
阿内節志 (スペースデザイン)
桑田麻弓(テキスタイルデザイン)
鎌田かな/佐々木裕登/名和裕太/水町 徹(ファッション・グループ)

※今回の桑沢賞各賞の賞状は、一昨年の桑沢賞を受賞した映像作家の牧鉄馬氏(2部89VD2A)にデザインしていただきました。
デザインについて:鉛筆で額縁を作りました。鉛筆はデザインの根源的なツールの一つであるとともにその色や形にも魅力があります。3月11日の大震災からの再生そして新しい価値観の創造という思いを込めてデザインしました。使用した鉛筆は短くなったものを桑沢の皆さんから提供していただきました。ご協力ありがとうございました。