2011年夏期基礎造形講座の報告 ( 2011年09月05日掲載 )

今年も無事に夏期基礎造形講座が終わりました。

今年の夏期基礎造形講座(夏期講習)は、前期・8月9日(火)〜13日(土)、後期・15日(月)〜19日(金)の日程で行なわれました。昨年同様きめ細かな募集活動を行なった結果、昨年と比べ若干少ない92名の参加となりました。

今年で20回目を迎えた夏期講習。この講座はデザインに興味のあるビギナーの方や、桑沢や美大受験などを検討中の学生さんを対象にしている講座で、デッサン・色彩校正の日中コース(前・後期)、立体・図法コース、夜間コースに参加したみなさんは、猛暑にめげず熱心に授業を受け、10日間の日程において無事終了いたしました。

以下、運営担当理事のもりいさんのレポートです。

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不景気や災害と、いろいろダメージが大きいちかごろにあって、夏期講習の受講者さんは今年も元気よく、
石にかじりつくようにしてがんばっておられました。

その姿にこちらもエネルギーをいただきます。

よく、最近の若い人には想像力が欠けているなどという意見を耳にいたします。

これについてはなんとも言えませんが、夏期講習の生徒さんにかぎって言えば、なかなかの想像力、
そして機転と応用力に富んでいました。

手前みそな言い方で恐縮ですが、高校生時分から、桑沢で夏期講習を受けてみたいなんておもう若者は、
やはりひと味違うんでしょうか(笑)。

 

アシスタントをやってくれてる卒業生が各授業を覗いてみると、先生方が異口同音に同じ事を言ってると言います。

それは「デザインは誰かのためにある」と言うこと。

目的があって生まれてくる「デザイン」という仕事は、ひとりよがりでは往々にして人様には喜こんでもらえず、
仕事として次につながっていきません。

わたしは夏期講習では色彩構成の授業を1クラス請け持ってますが、みんなに作業してもらう時に
「この教室のみんなを喜ばせる作品」をこころがけさせており、そう指導するようになってからの生徒さんは、それまでの生徒さんより考えすぎずにイイ作品を作ってくれるようになったのですが、特に今年は「他人のために」を考えるセンサーがとぎすまされていたように思います。

生徒さんたちの「こういうのはどうだろう」「じゃ、これはどうでしょう」という、食いつくようなアプローチがうれしかったです。

 

 

受験を考えていらっしゃる生徒さんは、この5日、ないし10日間の講習で自分のスタンスをなんとなく確認できたことでしょう。是非桑沢でまた再会したいと、毎年思います。

夏の段階で実力が発揮できず、地元へ帰ってもデッサンや色彩の練習をするところが無いという生徒さんたちが、授業の最終日にうったえかけるようにアフターケアをリクエストしてくださるんですが、諸般の事情で冬季講習も開催できず、心苦しいままにお別れをしてしまいます。

しかし高校生ならば美術の先生に相談するのもいいですし、社会人で夜間を受験するならば過去の参考作品などをお手本に練習し、周囲の人に意見を聞いてみるのもいいでしょう。なにか、つてはあるはずです。

想像力と、野心と行動力いうものが結びついて、初めて有益な結果になっていくんだなあ、

ということも、みなさんと接していて学習させていただいたひとつです。

 

■記:もりいくすお(1部60L2A:同窓会理事/イラストレーター)