丸山晩霞賞受賞式 ( 2012年03月28日掲載 )

  36年間、家電メーカーのインハウスデザイナーとして製品デザインを担当してきて数年前に定年退職。プラスティック・金属・量産そしてデジタルの世界を卒業し、人間本来のアナログの世界を満喫しながら、LOHASペースでゆっくり、アーティストの道を旅してます。

 道中見渡すと随分景色は変わってました。秋葉原の「ご主人さま」フィギアやマンガ絵がアートのジャンルで高評を得る。これ有りでしょうか?・・・まあいいか、ダダイストのマルセルデュシャンなんか「便器にサイン」で作品ですからね・・・僕は許せないですが。でもこういう極端なコンセプチュアルアートのムーヴメントが、次の何かを生むきっかけになるんでしょうね。今や色んな価値観があって、何がその時代の人に感動を与えるかですね。

 しかし自分の美学、貞操観念は持ちたいものです。
我が道は、絵画の世界での後発としての立ち位置を自覚しながら、品格のある新たな価値創造のつもりです。そんな中、アーティストのミッションはデザイナーのそれと何も変わらない事を感じ始めた訳です。エマーソンの云う「雑草とは何か、その美点がまだ発見されてない植物である」のごとくそれは、お客に対し新たな見方を「覚醒」する事だと。「人が気付かないもの、何気ないものを美しく官能的に表現する」事が志向のベースでしょうか。

  この度、我が道の一つの登竜門として、水彩画も許容してくれる日本で一番古い洋画会の「太平洋展」に初出品トライ。2作とも初入選、内一つは この画会の水彩画部門で一番良いとされる「丸山晩霞(ばんか)賞」受賞。そしていきなり会友推挙を受けるなど、多大なエナジーを注入して貰いました。これも長年「美」を追究してきた「継続は力なり」なんでしょうね。枯れ落ちるまでの新たな目標ができ破壊と創造、益々楽しんでいるところです。

 15世紀初頭から発達したと云われる水彩画、当初伝統装飾・聖書の写本として。
16世紀に入り油彩・フレスコ・タピストリの下絵や習作、設計図、地図などまさ
に黒子からの出発ですが、北方ルネッサンスでデューラーの博物学的観察眼によりアートとしての質が高まり、水彩画の新たな歴史が始まったと云われてます。そして17世紀オランダのフランドルで風景画の隆盛を経て18世紀のウィリアム・ターナー、21世紀ゲルハルト・リヒター等諸行無常です。新たな発見「serendipity」と言われたいものです。あと20年生きれるかな〜? 

 

                                             福田 清 (46L3ID)

 

 

・添付写真は、六本木の国立新美術館で5月に行われた「第107回 太平洋展」の展示状況と授賞式の様子です。巡回展が数か所で行われ、2011年9月は福岡市美術館で開催。