八王子市夢美術館で「たむらしげるの世界展2 空想旅行」開催 ( 2012年06月15日掲載 ) ※終了しました※

「たむらしげるの世界展2 空想旅行」が、東京の八王子市夢美術館で6月1日(金)から7月16日(月・祝)の会期で開催されています。

これは2005年に好評を博した「たむらしげるの世界展」の続編として、前回取り上げることのなかったイラストレーション作品を中心とした展覧会です。たむらしげる氏(=田村茂 2部44PK)の活動はアニメーション、絵本、コミック、イラストレーションなど多岐にわたり、流行に左右されないその作風から世代を問わず、今日多くの人々に親しまれています。

たむら氏の作品は、透明感にあふれ幻想的な印象をどれも持っています。特に青や赤、黄などの鮮やかで均質な色面でつくられた背景、記号といえるほど最低限の線だけでつくられたキャラクターやモノ、余白を十分に考慮した構図などは氏の作品に数多く見られる特徴といえます。加えて、その技法にも独特なものがあり、平面作品では水彩や色鉛筆などの手描きの表現のみならず、インクジェットプリントやリトグラフ、レトラクローム(感光性カラーインクを使用した技法)、プリントゴッコ、写真など多様な技法を用います。また、それらを単体の技法としては用いない作品も多く、例えばインクジェットプリントに手描きの表現を加えるなどデジタル+アナログといった複合的な方法を好んで用いる点も氏の作品の特徴として注目されます。

この展覧会では、たむら氏の魅力ある作品とともにその技法にも触れながらさまざまな活動や絵本作品の原画なども展示しながら、イラストレーター、絵本作家としての「たむらしげるの世界」を十分に堪能できる内容で楽しめました。ぜひお出かけください。

                T.O.記